船の授業

船の授業①「船の種類」

日本沿岸にはとても多くの船が航行しています。
東京湾では、なんと1日に約500隻もの船が航行しています。

我々の生活は海運によって支えられていると言っても過言ではありません。

釣りをしている方は多くの船が往来するのを目にしていることと思います。

さて、
あなたは何を運んでいる船なのかわかりますか?

 

船は用途により形も大きさも異なります。

私は、大学で海技士資格(航海士に必要な資格です)を取得し
7年間航海士として勤務してきました。

そんな私が、一般には馴染みのない船について
一般の方でも分かるように簡単に説明していきたいと思います。

第1回は船の種類についてです。

船の種類といっても、
「用途による区分」「材料による区分」「推進方法による区分」などがあります。

ざっくりとこんな感じです。

用途による区分
  • 商船   旅客船、貨物船、タンカー船、コンテナ船、フェリーなど
  • 漁船   トロール漁船、巻網漁船、捕鯨母船、工船、漁業練習船など
  • 特殊船  作業船、練習船、調査船、取締船、帆船、砕氷船など
  • 軍艦等  海上自衛隊艦艇、海上保安庁艦艇、水上警察艇、消防艇など
  • その他  モーターボート、ヨット、水上オートバイなど
船体の材料による区分
  • 木船    木材を材料とする船で、鋼船に比べて船体は弱く、耐用年数も短い。
  • 鋼船    鋼材を主要な材料とする船で、大型船のほとんどは鋼船である。鋼材は複雑な形状でも容易に加工できる。耐用年数が長い。
  • FRP戦  ガラス繊維をポリエステル樹脂で固めたものを材料としている。
  • 軽合金船  アルミニウム合金を材料としている。船体は軽量である。
推進方法による区分
  • ろかい船  人力によって航行する船。
  • 帆船    風の力によって航行する船。
  • 動力船   エンジンによってプロペラを回すことで航行する船。

船の種類はこのような区分に分けることができます。

今回は船の中でも、海運の中心をになう商船についてその種類と特徴について説明していきたいと思います。

商船の種類と特徴

商船の船の種類のことを船種(ふなだね)といいます。

どんな船種があるのか見ていきましょう。

コンテナ船

様々な貨物を国際規格のコンテナに収納して運ぶ専用船です。
コンテナ化された貨物はトラックや鉄道など陸上の輸送機関への積み替えが容易なため、非常に便利です。

港湾にも専用のクレーンが配備され、物流の中心をになう存在となっています。

ちなみに航行スピードは貨物船の中では最速です。

2021年3月にスエズ運河で座礁して話題になったのもコンテナ船です。

↓港湾にそびえたつキリンのようなクレーンはコンテナを積むためのものです。

ばら積み船

穀物や石炭などのばら積み貨物を運ぶ船
貨物スペースはバケツのような広い空間になっており、そこに穀物などを入れて運びます。

貨物積み下ろし用のクレーンを装備している船が多い。
ハッチカバーと呼ばれるタンクのフタにあたる部分が見えているのが特徴です。

木材運搬船

木材を専門に運ぶ船

貨物は船内だけでなく甲板上にも積まれます。
そのため、甲板上の木材が落下しないよう木材を支えるフレームがついています。

荷役設備が整っていない積み地が多いようで、ほとんどの船がクレーンを装備しており、
積み込みは、一般に筏に組んで運ばれた木材を、沖合で積み取る方法がとられているという。

原油タンカー

原油を運ぶ専用船で、複数の区画に仕切られたタンクがあり、そこに原油を積みます。
原油積み降し用のパイプラインが備え付けられているのが特徴的です。

貨物船の中では最も大型化しています。
現在主流になっているVLCCタンカー長さ330m 東京タワーを横にしたのと同じ長さです。
原油はドラム缶150万本分を輸送できます

↓船が巨大な為、港には入れず、シーバースと呼ばれる沖桟橋で原油の積み下ろしを行う。

LPG船、LNG船

LPGはプロパンやブタンなど石油ガスを液化した液化石油ガス
LNGは天然ガスをマイナス162℃の超低温で液化した液化天然ガス

これらガスが輸送中に気化しない為の装置を備えたハイテク船です。

タンクの形状は様々ですが、タンクや船の側面に大きく「LPG」「LNG」と表示があるので分かりやすいです。

自動車専用船

船乗りの間ではPCCと呼ばれます。
Pure Car Carrier の略で、自動車を専門に運ぶという意味です。

自動車を専門のドライバーが運転して、船内に積み込みます。
船内は何層分かれた屋内巨大駐車場のような構造です。

国際船では6000~8000台積みの船もあります。

RO-RO船

ローロー船と読みます。
トラックやトレーラー、シャーシ(トレーラーの後ろの部分)を輸送します。

車両を効率よく積み下ろしするため、船の前後のランプウェイという出入り口があります。
主に国内の雑貨輸送で活躍しています。

まとめ
  • コンテナ船   コンテナに格納した様々な荷物を運ぶ船。物流の中心を担う。
  • ばら積み船   貨物や石炭などのばら積み貨物を運ぶ船。
  • 木材運搬船   木材を専門に運ぶ船。
  • 原油タンカー  原油を運ぶ専用船。もっとも大型化している。
  • LPG、LNG船  LPGやLNGを運ぶハイテク船。
  • 自動車専用船  自動車を専門に運ぶ船。
  • RORO船    トラックやトレーラーを運ぶ船。国内の雑貨輸送で活躍。

他にも、セメント船重量物運搬船などなどあるのですが、主要なところはこんな感じです。

海で見かけた際には、是非何を運んでいる船なのか考えてみてください(^^)

ここまで読んで頂きありがとうございました!

今後も船の知識を発信していきたいと思います。

ABOUT ME
ごきげんまぐろ
元大型フェリー2等航海士。 二級海技士、三級海上無線通信士、一級海上特殊無線技士、 一級小型船舶操縦士、潜水士、 などの免許を保有。 海の知識、船舶の知識、その他学習の記録などを配信していきます。 インスタグラムにて魚図鑑作成してます。↓