船の授業

船の授業②「船内組織」

こんにちは。
今回は船内組織について説明したいと思います。

船は海上という特殊な環境の為、陸上における労働環境とは状況が異なります。
そのため、独特な人員配置が敷かれています。

業務内容は部署によって異なり、
各部署が船舶を安全運航するために勤務しています。

人気アニメ「ワンピース」でもキャラクターそれぞれに船内での役職が決められていますね。


主人公のルフィが“船長”、ナミが“航海士”、新たに仲間に加わったジンベイが“操舵手”となっており、これらの役職は商船でも必須の役職で、船乗りには馴染みの深いものです。

もちろん、商船は海賊船ではないので、“戦闘員”や“狙撃手”はいませんww

 

下図は、船内組織の例です。
この図を元に船内の役職仕事内容について簡単に説明していきたいと思います。

船内組織は甲板部機関部事務部の三つの部署で構成されています。
その三部署の頂点に最高責任者として船長がいる構造になっています。

職員(オフィサー)部員(クルー)

船で働く人のことを船員といいます。
船員は職員(オフィサー)部員(クルー)分けられます。

職員とは、法律に定められた国家試験に合格し、海技資格を持って船に乗り込む人です。
部員とは、職員を補助する様々な仕事をする人です。

最高責任者

船長(captain)

船長は船舶の最高責任者であり、甲板部、機関部、事務部を総轄する立場です。

船員に対して船員法で定められた様々な権限を持ちます。

船舶の全責任を負っており、
荒天時や視界不良時、入出港時など航行が困難な海域では直接指揮を執ります。
荒天時などは、夜も眠らずに船の指揮をとることもしばしば。

甲板部(deck department)

通称「デッキ」。
船の操船や、貨物の積み下ろし船体の整備などを担当する部署です。

航海士(navigation officer)

航海士は船長の作成した航海計画に基づき船舶を安全に運航します。
作業時は甲板部の指揮を執ります。

※航海中は航海士が交代で操船や見張りを行います。

この交代で操船や見張りを行う業務を当直といいます。

一等航海士(chief officer, C/O)

Chief Officerの略で通称「チョッサー」と呼ばれます。
船内では当たり前のように「チョッサー」「チョッサー」と呼んでいるので、
知らない人はびっくりするかもしれません。

記述する時は略称でC/Oと書きます。

実質的な副船長であり、主に貨物の積み下ろし作業の責任者です。

二等航海士(second officer, 2/O)

通称「セコンドオフィサー」。
一等航海士を補佐します。

主に、航海計器や救命設備の保守管理、海図の管理等を担当します。

三等航海士(third officer, 3/O)

通称「サードオフィサー」。
一等航海士、二等航海士を補佐します。

主に、雑務全般の仕事をこなします

甲板部員(deck crew)

甲板部員は甲板上の保守・整備、貨物の積み下ろし作業を行います。
また航海士とともに当直業務も行います。

甲板長(boatswain, B/S)

甲板部員の長。通称「ボースン」

甲板次長(store keeper, S/K)

通称「ストーキー」
甲板長を補佐します。

操舵手(quartermaster, Q/M)

通称「クオーターマスター」
航海中は航海士とペアを組み、操船や見張りを行います。

操船時は船長もしくは航海士が指示を出し、操舵手が舵を取ります。

甲板員(sailor, S/L)

通称「セイラ―」。
甲板長、甲板次長、操舵手を補佐します。

機関部(engine department)

通称「エンジン」。
エンジンやボイラーなどの運転、整備、燃料の補給などの業務を担当する部署です。

機関士(engine officer)

機関士は船舶の運航に必要な機械類を良好な状態に維持します。
機関士も航海士と同様に交替で当直業務を行います。

当直業務では主機(メインエンジン)やプロペラ、発電機、舵、ボイラー、冷凍機などの機械を点検しています。

機関長(chief engineer, C/E)

Chief Engineerの略で通称「チェンジャー」と呼ばれます。
記述する時は略称でC/Eと書きます。

機関部の責任者です。
エンジンを始めとする様々な機械の保守・管理を行う機関部を総轄します。

一等機関士(first engineer, 1/E)

通称「ファーストエンジャ―」。

機関士にはそれぞれ担当する機器があり、
一等機関士は主に主機関(メインエンジン)やプロペラなど船を動かす機器を担当します。

二等機関士(second engineer, 2/E)

通称「セコンドエンジャ―」。

主に発電機や舵取機を担当します。

三等機関士(third engineer, 3/E)

通称「サードエンジャ―」。

主にボイラーや冷凍機を担当します。

機関部員(engine crew)

機関部員は機関士の指揮に従って機械の運転、保守・整備を行ったり、
機関士と当直業務に入ったりします。

操機長(No.1 oiler)

通称「ナンバン」

機関部員の長。
機関部員全体の監督を行います。

操機次長(engine store keeper, ES/K)

通称「エンジンストーキー」
操機長の補佐をします。

操機手、機関員(oiler)

作業員として操機長、操機次長を補佐します。

事務部(purser department)

入出港の手続き船内での調理客船では乗客へのサービスなどを行う部署です。

通信長(chief radio operator, CR/Op.)

無線電話や衛星通信を用いて陸上との連絡を取り合う業務を行います。
通信設備の保守・整備も担当。

最近では、無線資格を持つ航海士が兼任で行う船が多いです。

事務長(purser)

通称「パーサー」

客室業務を総轄します。
昔は商船にも事務長という職がありましたが、最近では客船やカーフェリーなど乗客が乗る船に限られます

司厨長(chief steward, C/St.)

乗組員の食事を作ります。その長。

司厨手、司厨員 (steward)

司厨長を補佐します。

以上、簡単に船内組織の概要について説明させて頂きました。

今後も船の知識を発信していきたいと思います。

少しでも皆様の参考になれば嬉しいです(^^)

ここまで読んで頂きありがとうございました!

ABOUT ME
ごきげんまぐろ
元大型フェリー2等航海士。 二級海技士、三級海上無線通信士、一級海上特殊無線技士、 一級小型船舶操縦士、潜水士、 などの免許を保有。 海の知識、船舶の知識、その他学習の記録などを配信していきます。 インスタグラムにて魚図鑑作成してます。↓